根尖性歯周炎の難治化・無菌的治療の重要性と無菌的処置の実際(横浜市講演会)

皆様は世界基準の根管治療の成功率はどの程度かご存知でしょうか?

様々な研究からおおよその成功率が報告されています。

イニシャルトリートメント(抜髄根管)のは約 90% 再根管治療(元の解剖学的根管形態が維持されている場合)は約80%どちらでも根尖病変を有すると成功率は約10%下がるとされています。

また、マイクロスコープを用いたモダンテクニックでの外科的歯内療法の成功率は約90%であると報告されています。

つまり、根管治療と外科的歯内療法を組み合わせると 90%以上と高い水準で根尖病変を治癒に導ける可能性があります。言い換えれば根尖病変は歯内療法でおおよそのマネージメントが達成出来る訳です。

聴講される先生方の臨床実感として、この数字はどの様に感じられるでしょうか?過去の私は自身の根管治療の成功率は考えた事もなく、どちらかと言うと『根尖病変、治ったら凄いな』患歯の予後を定期的にフォローも行っていませんでした。その様な漠然とした臨床感覚でした。

私自身が高校時代にアイスホッケーでスポーツ外傷により前歯を歯髄壊死し自医院で根尖病変をレントゲンで発見した時、治るか治らないか分からず諦めムードでした。しかし、これをきっかけに臨床医として歯内療法を学習し始めました。そして辿り着いたのがこのPESCJです。

我々が基礎として学び実践しているのは北米の歯内療法専門医教育に準ずる治療法であります。

先生方も、もし世界基準の根管治療の成功率が高いと感じるならば、この講演は大きな関心があることと思います。

私の根管治療を完結して頂いた先生はPESCJの田渕先生です。治癒した事に勿論感謝もしていますが更に患者の立場として患者利益は大切という気付きを与えて頂いた事に感謝しております。

歯内療法目的は根尖性歯周炎の治療と予防であり、原因となる細菌感染に対して原則を守らない治療は安易に感染経路を広げて、細菌感染を拡大させてしまいます。

本講演においては根管治療の原則である無菌的処置、バクテリアルリダクション、根管系の封鎖に関して今一度治療の根本的な考えとなる部分をお話させて頂きます。

私のパートでは先生方に無菌的処置環境の整備についてお話しさせて頂きます。う蝕や不良修復物や補綴物の除去を行い、隔壁処置、ラバーダム防湿を行います。治療中や通院期間中に口腔内細菌を根管内に侵入させることは治療の失敗を招くことにつながります。つまり仮封も非常に大切な処置です。根管治療の処置環境に関してはその術者が責任をもつ必要があり、この無菌的環境をいかに確実なものにするかが最重要視されます。 そしてこの環境下での処置のみがその後の細菌の減少や感染源の除去を有効にします。 また、インフェクションコントロールとしても交差感染の防止の観点からも可能な限り器具のディスポーザブルを推奨いたします。

この講演が先生方の治療の一助となれば幸いです。結果、患者利益に繋がれば幸いです。

(山縣徹哉 https://www.yamagatadc.com/)