抄録 「根管貼薬・根管充填」2023年7月30日山梨県甲府市講演会

歯内療法の目的は根尖性歯周炎の予防と治療です。

適切な診査診断・無菌的処置・根管形成拡大などのステップを経て“根管貼薬・根管充填”に移っていきます。これまでのステップを無駄にせずより目的達成に近づく為にも疎かにできないステップでもあります。

前半でお話しさせていただく“根管貼薬”は機械的拡大・化学的洗浄によって減少させた根管内細菌を、さらに減少させていく為のステップです。

しかし、「根管内細菌を減らすために貼薬を行うのか、感染の機会を減らす為に貼薬を行わずに根管充填まで行うのか?」「貼薬剤に何を使用するのか?」「期間はどのくらいにするか?」などさまざまな選択が迫られます。選択を間違うことで根管内細菌を減らす為に行なったはずの処置により逆に細菌を増やしてしまったり、偶発症を引き起こしてしまうことも考えられます。

根管貼薬のパートではそれらの選択をどのように行えば良いのか、また臨床時の貼薬の方法はどのように行えば良いのか、などお伝えできればと思います。

後半の“根管充填”は機械的拡大・化学的洗浄・根管貼薬により細菌を減少させた根管内を適切に封鎖していくステップです。

綺麗な根管充填を行うことが歯内療法の目的ではありません。しかし緊密な根管充填を行うことで今後の根尖性歯周炎の予防には繋がってくると考えられます。緊密な根管充填を行う為に歯内療法専門医の間ではCWCT(Continuous Wave Condensation Technique)というテクニックが多く用いられてきました。しかし、CWCTは手技が困難という欠点もありました。近年ではバイオセラミックシーラーの出現により、比較的容易に緊密な根管充填を行うことができるようになり歯内療法専門医の間でも用いられる。根管充填のパートでは根管充填の基本的な考えから方法、バイオセラミックシーラーを用いた根管充填法についてもお伝えしたいと思います。

この講演が先生方の治療の一助となれば幸いです。