久々の講演であり、講師もメンバーチェンジしリフレッシュしておりますので、改めて抄録を紹介させていただきます。
今回は「診査診断」です。よろしくお願いいたします。
近年、歯内療法の分野では、マイクロスコープの活用、NiTiファイルや超音波チップを使用した根管形成、次亜塩素酸ナトリウム、EDTA、クロルヘキシジンを用いた根管洗浄、MTAなどのバイオセラミック系の材料を使用した根管充填など、手技的な分野の進化について、目を見張るものがあります。
しかし、日常臨床において軽視されてるのではないかと疑ってしまう症例も少なくないですが、根管治療を行う上で最も重要なものは、治療に先立って行われる診査診断になります。
患者さんが痛いと言っているのに、部位の特定が出来なかったり、痛みの再現ができず、原因が特定できなかったり、瘻孔の原因歯が特定できなかったり、診査診断において困ったことが少なからず一度は経験されたことがあるのではないでしょうか。
このような状態で正確な診査診断が行われないまま、先走った治療を行うことは「主訴が改善されない」、「治療が不必要な歯に対して侵襲を加えてしまう」などのトラブルや患者の不利益につながりかねません。正確な診査診断をすることは、適切な治療方法を選択する為に非常に重要な役割を担うことになります。
デンタルやCBCTのみでは、見事に騙されるケースなどもあるのは事実です。 私が担当するこのトピックでは、具体的に日々の臨床においてどのような診査項目を行なっていくか、診査の順番や、実際の歯髄や根尖部に対する診査は何を判断するために行なっているのか、各診査の正しい手順や具体的な診査の術式、デンタルやCBCTで何を診るのか、正確な診査診断から導かれる、より可能性の高い歯髄・根尖部における診断名の付け方、また治療方法を選択する為の意思決定について、明日の臨床から実践できるような知識についてお伝えさせていただきたいと思います。
この講演が先生方の治療の一助となれば幸いです。
(佐藤紘子/根っこのクリニック)